スペインタイル

<意味>

東日本大震災後、女川とスペイン・ガリシア地方との間に異文化交流の話が持ち上がりました。両者はどちらもリアス式海岸で、地形や風土が似ています。ガリシア地方は過去に津波に襲われ、そこから復興した歴史もありました。

女川にはスペインタイル工房があり、町内の表札・看板などを彩っています。

 

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NPO法人みなとまちセラミカ工房の阿部鳴美さんにお話を伺いました。

【スペインタイル工房を開かれたきっかけを教えてください。】
 1999年からサークル活動として陶芸をやっていました。震災から半年がたった頃、仲間と集まり活動を再開しようと話し合いました。その頃ちょうどスペインとの異文化交流の話が持ち上がっていたので、最初は趣味としてスペインの文化であるタイル作りに興味を持ちました。
 実際にスペインに渡航する機会があったので、町を巡り家々を彩るタイルを見てきました。中でも驚いたのは博物館にあった数百年前のタイルが色あせることなく、当時のままの色合いで残っていることでした。その色を目の当たりにした時、自分と何百年も前の人々がつながっているような気分になりました。そしてこれは是非今後の女川を飾る色として使いたい。また、このタイルで震災前の景色を描いて次の世代に残したいと思ったのがきっかけです。

【スペインタイルを作る魅力を教えてください。】
 美術というよりもちょっとしたコツのいる技術的な作業で、体験に来た方はみなさん年齢性別問わず集中して黙々と作られていますよ。ものづくりが好きな人はハマってしまうと思います。
 そして一番面白いのは、「下絵を描き、釉薬をのせ、窯で焼く」という製作のステップが女川町の復興と重なって見えるところです。
 最初は茶色の素焼きの状態です。これは何もなくなってしまった今の女川。そこに鉛筆で下絵を描く、これはまちづくりの青写真を描いていく様子。そしてみんなで色づけをして、最後に焼かれて窯から出てきた色鮮やかなタイルを見ると、町の明るい未来が重なって想像できるんです。

【これからの展望をお聞かせください。】
 単なる「復興グッズ」としての位置づけでは時間の経過と共に見向きもされなくなるでしょう。最近は技術も成熟し、企業からの製作依頼も増えました。タイル作りはむしろこれからが本番だと思っています。せっかく女川で作っているので、デザインのモチーフも海や漁船の大漁旗、駅にあったカラクリ時計など、地元ならではのものを取り上げています。いずれは「女川タイル」と呼べる独自の文化として地域に根ざすものを作って行けたらと思っています。

【これから女川を訪れる観光客の方にメッセージをお願いします。】
 今しか見れない「1000年に一度のまちづくり」の過程を是非見に来てください。被災地にもこんなに彩り豊かな所があるんだ、ということを実際に感じてもらいたいです。そしてこの町をどんどん彩っていくこのタイルを一緒に作って、女川に来た記念を残しましょう。

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